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2015.04.28 山形 誠
明治以降の近代化の中で設計を専業にする建築家と、施工をする施工者というものを分けなければならないということになり、工部工学校(後の東京大学工学部)に造家学科ができました。
その第1期卒業生が、東京駅を設計した辰野金吾、赤坂迎賓館を設計した片山東熊(おとくま)であったことは、知っている人は知っていること(ほとんどの人は知らないでしょうが)・・・日本における建築家の誕生。
日本では建築家として認定するための公的な機関はなく、それを名乗るのに免許証や資格証は不要で、それの代わる認定機関も存在しないのが実状なんです。
欧米に比べると一級建築士という資格を持った人が多くて(一級建築士というのはただ一級建築士試験に合格した・・・というだけで、優れた建築の設計者であるという何の保証でもない事・・・ご存知でした)
人口が二倍のアメリカの建築家協会のメンバーが三万人くらい、公認の建築家の数がそれぐらいなのに対して、日本の一級建築士が三十万人以上いるという数字を比べてみればわかるはず。
家をつくる・・・ということでは、建築家とは住み手の家を設計だけをする人(設計図通りに現場の進捗を確認する<監理>という業務もあるのだけれど)大工さんや工務店の建築士とはそこが違うし、住宅産業の会社の設計担当者は近いけれど、基本的には施工会社に雇われているのだから違う。
つまり、建築家っていう職業は原則として施工をする人と別な、独立した人格者で、家を建てようという人と施工をする人の中継ぎを、建てようとする人の立場にたって行う人。
どうしてこういう職業が必要になったか?
貴族の時代までさかのぼり、建築家は医師、弁護士と一緒になって彼らに奉仕する職業人となる。
命を預かる職業、財産と権利を守る人、家をつくってくれる人を周りに置いておけば心休まるのは当たり前。
そこで、金儲けばかり考えていて、材料を盗んだり、手抜きをして逃げようなどという悪しき施行屋を監督し、雇い主の財産を守りながら同時に他人に見せて誇れるような美しい建物を設計してくれる役割としての建築家という立場が明確になってきます。レオナルド・ダ・ヴィンチがメディチ家に提出した建築家としての売り込みの手紙には、自分がいかに攻め落としにくい城が設計でき美しい屋敷を設計できるかを、つぶさに書いているそうです。・・・営業っていうのは昔から大変だったんですね
欧米の数少ない建築家は一種の芸術家、そんな建築家に家の設計を頼むなんて、大それたことは一部の富裕層にしかできないことなのに、数多くいる建築士に声をかけて設計を頼める・・・なんて夢のようなことが可能なのは日本だけなんです。 普通の人が、建築家に設計を依頼できるという、日本の特殊な有利性を、あなたは、どうフルに活用するか。または逆に使われてしまうかは、あなた次第。
それじゃどんな建築家に頼んだらいいのか・・・それはまた、別の機会に!
栃木、埼玉の建築家集団 ハピケンhttp://hapi-ken.com/
建築家は優れた人間観察家でなければならない