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2016.03.11 村上 有紀
こんばんは、村上建築設計室です。
今日は3月11日、皆さんはどのようにこの日をお過ごしになったでしょうか。
毎日の暮らしは忙しく過ぎていくけれど、ふと立ち止まり「あの日」を思うとき、
どなたも心揺さぶられる悲しみがあることと思います。
今日の報道では、原発近くの避難地域の様子が多く取り上げられていました。
ひとつひとつの家やお店の中には、生活していた時のモノがそのままにあり、まさに時が止まった世界です。
草や木が家屋を覆い尽くす中、止まったままの暮らしを伝える物たち。
住まいを離れた方々の怒りや悲しみを代弁しているかのように見えたのでした。
あわてて避難するときに、あるいは一時帰宅が許されたとき、どんなものを持って行ったのだろう。
たまに「片づけ」をテーマに「人と物との関係」をお話する機会がある私は、
暮らしの営みが無い映像から、そんなことも思いました。
おそらく、今後の暮らしを支える貴重品のほかに、今後の私を支えてくれる物も選んだのではと思います。
たとえば、自分が自分の分身のように思うもの、大好きな家族や人の記憶とむすびつくもの、
困難に立ち向かうときに、自分を救い、励ましてくれるものを、持てる範囲の中で選びとったのではと思います。
それはとても苦しい作業だったのではないかな。
ましてや、津波は、そんな一瞬の余裕も与えずに、暮らしをまるごと飲み込んでしまった。
その心中は想像に余りあるものです。
がれきの中からこれまでの暮らしの一端を探し出そうとする姿が、
震災直後にはたびたび報道されました。
写真一枚がでてくるだけで、涙を流す方が多くおられました。
暮らしにまつわる情報では、
このところず~っと「片づけ」や「捨てる」というキーワードが注目されていますが、
多くの発信者は、捨てることを通して「自分の人生に必要なモノを選び取ること」の大切さを唱えています。
捨てるプロセスは手段でしかなく、選びとることが目的です。
どんなものを選び取るのかが、その人の人生の大切な物を表し、人生観の現われとなる。
いちばん身近なところでできる「自分探し」のような意味合いもあるのですね。
こんなことを考えたのも、昨日、有るご婦人から「捨てられない」というお悩みを聞いたからかもしれません。
「捨てればいいというのはわかっている」 けど 「できない」
「だってね・・・」から続くのは、これまでのご婦人の人生。
その関係性を整理することは、そう簡単にいくものではありません。
だから、片づけには物と向き合う時間と何よりも心のゆとりが必要なんですよね。
今日の報道からは、そんなことも思ったのでした。
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私も今日は、様々な気持ちが交錯する1日でしたが、もうひとつ、
震災時の報道での、モノがもつ強烈な結びつきを感じる、忘れられない写真があります。
それは、泥だらけのランドセル。当時の報道でご覧になったかたも多いでしょう。
泥だらけのランドセルが並ぶその写真からは、「ランドセル」というものが、
強烈に「子どもの未来」「よろこび」「笑顔」を連想させることに改めて気づかされました。
そして、泥だらけのランドセルは、そのギャップが、あまりにも、あまりにも切なくて。
思い出すと今も涙が・・・。
とりとめのないブログになってしまいましたが、
今日はモノの存在が、5年の月日を昨日のように呼び戻してくれました。
依然として大きな課題を抱えたままですが、私たちは、子ども達の未来を第一に、
毎日の暮らしと仕事とに励んでいきたいと思います。
栃木・埼玉の建築家集団
ハピケン http://hapi-ken.com/
開く、展く、啓く、拓く、ひらく。豊かで楽しく居心地のよい「うちとそとの間」をテーマにしています。