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岡本太郎と隈研吾

2024.07.16 村上 有紀

先日、表参道にある岡本太郎記念館と根津美術館に行ってきました。

岡本太郎記念館は、岡本太郎のアトリエ兼住まいだったところを一般に公開、その変遷と作品があちこちに見られます。ちょうど、今年大阪万博ということもあって、1970年の万博のシンボルである太陽の塔をふくめて、当時の話題も多いですね。

大阪に住む友達(同世代)にも、太陽の塔の大ファンがいるのですが、まさに大阪万博のレガシーとしてみんなに愛されていることもわかります。時代背景もあると思いますが、当時のエネルギーと岡本太郎のメッセージに加えて、あの愛嬌のある表情↓↓はやっぱり元気がもらえる。

茂った緑に包まれてしまうような建物は、内外、いたるところに岡本太郎の作品があふれ、行けば悩みがふっとぶ、あるいは、背中を押されるようなそんな空間です。

対して、根津美術館は、隈研吾さんによる設計。細い竹格子の表情と、深く長い屋根が印象的で、訪れる外国人も多い美術館です。都心にあって、緑豊かな庭園と一緒に楽しめる静謐な美術館です。長いアプローチも屋根と植栽で街の喧騒から切り離されて、内省するような準備の空間とも感じられます。

内部もも人の営みや思想の歴史を振り返るような、静謐な展示空間ですので、
このアプローチがとても有効に働くのだと思います。心静かに、時間と空間に癒される、
そんな美術館です。

那珂川町にある馬頭広重美術館は2000年のオープン。根津美術館は2009年のオープン。
その間に「負ける建築」というタイトルの著書を出していて、周囲の環境に溶け込むような
建物を建てることの意味を説いていました。
隈さんが「転機」とおっしゃっている、馬頭広重美術館は開館から今年24年目です。
木ルーバーががゆっくりと経年変化し、枯山水のような風景になっているのかもしれません。

久しぶりに訪ねてみようと思いました。
http://www.hiroshige.bato.tochigi.jp/about/architecture

村上有紀