山形建築研究所、山形です。
リフォームの工事が進む<境町のすまい>の現場では、各部の寸法を確認、調整の打合せでした。

天井の下地から仕上のところでの寸法の確認。
一般に天井の高さを決める目安として、天井高=内法高+小壁(帖数×0.3)という算定式があります。
例えば、8帖間の場合、5.8尺+(8×0.3尺)=8.2尺(≒2.49m)、4.5帖では7.15尺(≒2.16m)、6帖では7.6尺(≒2.30m)となります。
まあ、それだけでバランスのとれたモノになる訳じゃありませんが、建物全体のプロポーションからつくられる高さが決め手となります。
『天井が高いほうがいい!』なんてよく言われますが、チョット待って・・・
私の思うところでは、高くあるべきところは高くあるべきで、高い天井は低い天井と相対関係であるべきで
天井が低い部分は落ち着くための空間であり、それと対比する高い天井があることで空間が豊かになると考えています。

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主天井より一段を下げた落ち天井、仕上げはラワン合板。
ただ、天井を低くすると天井の造作が際立って見えてくるので、神経を研ぎ澄ますような造りが必要となり、そのあたりの兼ね合いが難しいところでもあります。(^^;

 

 

そして今日は<家中のすまい>のすまい手であるUさんご家族に<丸さんの家>を明日の見学会に先駆けて体験していただきました。
と云うのも、床材については無垢材をと云うところまでは進んでいるのですが、それじゃどんな樹種を選んだらいいかと?
ならば施工事例を見て触れてみましょうということでお誘いした訳です。

木材の性格を表す時に「かたい・やわらかい」といった表し方をしますが、そんな性格の違いは針葉樹と広葉樹の違いと云ったところから説明しています。
英語で針葉樹をソフトウッド、広葉樹をハードウッドと言うように、針葉樹は軽くて柔らかく、広葉樹は重くて硬いといわれています。これは木が含んでいる空気の量に関係しています。
話を難しくすると樹種によって異なる細胞レベルの特性の違いということ、組織繊維が単純な針葉樹と複雑な広葉樹の違いということになります。
もすこし説明すると・・・
木を構成する細胞と細胞の間には、隙間が空いていて、その隙間の割合を空隙率(クウゲキリツ)といいます。
ほとんどの広葉樹は空隙率が低いため気乾比重が大きく重くなり、針葉樹は空隙率が高くなり、比重も小さく軽くなります。
硬さの違いは、空隙率の低い広葉樹は細胞の密度が高いために硬くなり、針葉樹は密度が低いために柔らかくなるというわけです。

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今回の施工事例は<杉板> そこで、スリッパや靴下を脱いでみて暖かみ、柔らかさを感じて・・・

木が暖かいというのは、木の細胞が無数の空気の粒を抱え込んだ、さながら断熱材のような材料だからということで説明ができます。
素足が触れる床の場合、熱伝導率が木の十倍高いコンクリートでは、見る見る足裏の温度が下がっていくのに対して、木の床では最初ちょっと下ってから後は逆に暖かくなる。
冬の冷たい布団に入ったときの理屈だと思っていただけると解りやすい。
そんな木の持つ暖かさに、樹種による違いが生まれるのは、空隙率、比重の違い、つまり「かたい・やわらかい」の違いによるる熱伝導率の違いがもたらしているものです。

実際に触ってみて、違いを体験してもらえた施工事例見学でした。

 

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