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2015.12.01 村上 有紀
こんにちは、村上建築設計室です。今日から12月ですね~。
街が華やかになるなか、2015年もラストスパートです。
さて、今日は私(村上有紀)にとっての理想のダイニングキッチンについて、お伝えしたいと思います。
色々なところで紹介していますが、私が毎回、設計しながら思い浮かべるキッチンでのシーンがあります。
それは、自分の体験ではなくて、高校時代の友人から聞いたイメージなのですが、
ずっとその友人みたいな暮らしのシーンをつくれたらいいなぁと思っています。
彼女の高校時代は、勉強も部活も一生懸命、優しくて面白くて、とても素敵な女性でした。
そして、家族が大好き。一番好きな時間は、夕方、お弁当箱を洗ったりしながら、
キッチンでお母さんと学校のこと、部活のこと、恋愛のことなどをおしゃべりすること!
と言っていました。
そういえば、毎日おいしそうなお弁当を食べながら、
私達にもお母さんやご家族の面白エピソードなんかを教えてくれてたっけ。
高校生と言えば、なんとなく、家族と距離を置きたいお年頃だったりもしますが、
「家族大好き」と楽しそうに話す彼女を「へぇ~」と思いつつ、素敵だなぁと思い、
その夕方の親子の会話風景は、私の妄想も入って、とても温かいシーンとなり、
私の記憶に焼きついたのでした。(実際に見たことはないので、本当に妄想です、笑)
それは、壁に向かってのキッチン(サザエさんやちびまる子ちゃんの家のように)で、
お母さんが晩ごはんの準備をしています。
手前にはダイニングテーブルがあって、ちょっと夕暮れのオレンジ色の光が入り、
友人とお母さんが背中越しに、いろんな話をしていて、時折お母さんが振り向いて・・・
というようなシーンです。
今は、コミュニケーションのために対面キッチンを!というのが主流ですが、
この「背中越し」というのが、話がはずむポイントだったのではないかしら?
とも思っています。(特に高校生にとってはね^^)
背中越しだからこそ、楽しいことだけでなく、いろんな相談事も素直に言えるような、
そんな気もするのです。
この記憶のおかげで、キッチンでの暮らしのシーンを思いながら設計するのが本当に楽しい。
具体的なキッチンのカタチは色々ありますが、そこで生まれる暮らしは、
彼女のおうちのような、日々の愉しみや幸せ、家族の優しさを実感できるものでありたいと思います。
だから、理想のダイニングキッチンを教えてくれた友人には本当に感謝です。
残念なことに、本当に残念なことに、彼女は8年前に病気で亡くなってしまったのですが、
翌年、彼女が闘病中につづっていたブログを、ご家族が書籍としてまとめてくださいました。
そこには、彼女のお母さんから亡き娘へのメッセージとしてまえがきがあり、
その中にこんな文章をみつけました。
「…学校の事、友達の事、どんな事でも、食事の支度をしている私の後ろに立って、
話し続けていましたね。あなたは、とてもおしゃべり好きな女の子に成長しました…」
友人が大切だった時間は、お母さんにとっても幸せな時間として心に残っているものだったのですね。
(この一文には、本当に涙があふれてきます。)
子どもも、大人も、家で過ごした記憶、家族の過ごした風景は、
その後の人生で、ちょっと凹んだ時、さびしく感じたとき、つらいなと思った時、
自分自身を支えてくれている、と、この歳になってすごく感じるようになりました。
だからこそ、その舞台となる家づくりをお手伝いする私達には責任があり、
精一杯、それぞれのご家族を応援したい!と思うのでした。
おぉ~、今日はずいぶんと長い文章になってしまいました。
最後までお読みくださった方、ありがとうございます(笑)。
記憶に残る家をつくるなら。
栃木・埼玉の建築家集団 ハピケン http://hapi-ken.com/index.html
素敵な友人がたくさんのメッセージを込めたブログはこちら。
http://ameblo.jp/rexico-toraco/
開く、展く、啓く、拓く、ひらく。豊かで楽しく居心地のよい「うちとそとの間」をテーマにしています。