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やはり耐震等級3でしょうか

2024.08.09 佐藤 大介

創右衛門一級建築士事務所の佐藤大介です。

R6.8.9(金)[晴れ]

楽したい人ほど耐震等級3の高気密高断熱住宅がいいのではないでしょうか。

昨日8日、南海トラフ地震臨時情報の巨大地震注意が発表され、その発表内容に釘付けになり、“巨大地震”という言葉に不安を感じました。宇都宮市は対象市町村には該当していませんが、東日本大震災の被害状況を思い起こすと震源地によってはこの地域もそれなりの被害が予想されるので、水や食料の備蓄と防災グッズの備えはしておかなければと思うのですが、対象市町村に該当していないし…っと、どこか他人事に考えている自分がいるのも正直な所です。

注意してっ!準備してっ!と言われても未確定な事に備えるのは中々腰が重いもので…明確でなく差し迫ってない事に労力を使いたくなく、日々もっと楽にゆる〜っく生きていきたい…と思う人間としてはどこか他人事に感じる部分もあり、その一方で自分や家族が危険にあったり、日常生活が送れなくなるのも嫌だと…勝手な事を思うわけです。我が家の備えはきっと今回も水を箱買いして終わってしまうことでしょう。

ただすぐ出来る身近な備えとして、家族の“安否確認方法”と“避難場所の確認”だけはしておこうと朝食時に家族と話はしました。

“耐震等級3”を標準仕様としている住宅設計者として、“どこか他人事…”なんて文章を昨日今日で書いていいのか…っと思いながらPCの前に座っておりますが、そんな風にゆる〜く考えられるのも私が許容応力度計算をした耐震等級3の住まいに住んでいるからだと思います。

安心なんです…

耐震等級とは、建物の耐震性能を表す指標で倒壊・破損のしにくさを基準に等級1,等級2,等級3に分けられており、耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震性能で、数百年に一度程度発生する規模の地震の1.5倍の力に対し倒壊、破壊せず、数十年に一度程度発生する規模の地震の1.5倍に対して破損を生じないという基準になります。

詳しくは「耐震等級」と検索してもらうとして…

耐震等級3は大地震から命を守ってくれ、大地震後もその家に住み続けられる住まいだという事です。築何年で大地震に遭遇するかは誰にもわからず、命があるだけよいのですが、現実はその後も生活が続きます。もしかしたら築1年で住めなくなる事になるかもしれないと考えると…保険で建て直しできる?…住宅ローンは?…などゾッとしますね。そんな心配をしたくないのであればこれから建てる住まいは耐震等級3以外の選択肢はないように思います。

とはいえ耐震等級3の住まいにするには100万円単位で費用はがかかります。その費用を高いと思うか安いとおもうかなのですが、当時の私は高いと思いました…ソファー買えるな〜とか…外構工事も出来るな〜とか…考えましたが、決断した決定的な考えは、“後からでも出来る事は後回しにする”ですね。ソファーも外構工事も後からでも出来ることで、今しかできない事を優先する選択をしました。その選択は本当に心からよかったと思える選択で自信を持ってお勧めしたいと思います。最悪内装仕上げのグレードアップも後から出来ます。

迷ったらこれ ⇒「上辺でない本質で本物の選択」

これは、高気密高断熱工事にも同じことが言えると思いますし、仕上材料の意匠ではない造形や空間の意匠にも言えることではないでしょうか。

やはり
“意匠と性能の両立した住まい…”ですね。

[耐震等級3のhouse-SS]

日常も非日常もなるべく心配や手間を少なく暮らす為に“多々ある決断の時に良い備え(決断)をし”その後の面倒や心配を減らしゆる〜く生きていきたい!と思いませんか。

個人的にはメンテナンスもなるべく少なくしたいところで、掃除とかも嫌です…サボっても大きな問題にならない住まいがいいですね。
先日、ルンバを起動させた時にルンバの掃除は誰がしてあげるのか…っとおもいながら一度もしてません。そんな人間です…

余談
私、自分をでは神経質な人間だと思ってます。“ゆる〜く生きていきたい”は多分私の憧れ…そんな人間になりたい願望なのだと思います。
どっちでもいい話しですね…失礼


【耐震等級3の住まい上棟】
今週7日(水)にインナーガレージのある住まいhouse-KH上棟いたしました。

車2台分の無柱空間があり、中庭のある少々異型なプランですが、耐震等級3を確保。その為、構造計算(許容応力度計算)で力技も使っており、ガレージ部分に指定した6mスパンの木梁は、強度が明確に証明された“異等級構成集成材/米松/E135-F375”なる高強度木梁を4本使用しております。

[ガレージ部分の正面]
[ガレージ部分の梁/異等級構成集成材の表示]
[足場の上から/少々異型なプラン]

木材加工技術が進歩した事で、天然木では入手が難しい大きな部材を作る事が可能となりました。また部材単体の強度も明確に示す事ができるので、木造での大スパンや中規模建築物が可能となり設計の幅も広がりました。地域の木材を使用し地産地消ももちろん大切ですが、適材適所で強度の明確な集成材を利用し安全安心を確保する判断も設計者に問われる知識の一つではないでしょうか。

栃木県産木材、いつも積極的に使わせていただいてます。“八溝杉”手触りが良く、木目の綺麗な素敵な一品です。


【集成材の用語】
集成材:ラミナといわれる小角材を貼り合わせつくられ強度も明確な木材
異等級構成:高い曲げ性能を必要とする場合に用いられる構成材
E135:Eとは曲げヤング係数でたわみにくさを表す
F375:Fは曲げ強度で破壊されるまでの強さを表す


【大工の手仕事】
梁と梁を繋ぐ仕口(しぐち)という加工方法。

[腰掛け蟻継ぎ]

60°で接続した“腰掛け蟻継ぎ”という仕口。台形に加工された蟻ほぞ部分を上から落とし込むことで木材同士が離れないようにする一般的に用いられる日本建築の伝統的手法です。
こんな加工が何箇所も…大工さんの技術は凄い…

棟梁のSさん今回もなかなかの難易度物件になりますがよろしくお願いいたします。


意匠と性能の両立した住まい…
創右衛門一級建築士事務所
https://souemon.net