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愛着は手ざわりから

2026.03.09 山形 誠

工事が進む<上辺見のすまい>からの現場の様子をリポートです。

大工職に苦労をかけてしまった階段手摺 GRⅢ 適宜トリミング。

安全に上り下りするために建築基準法では『階段の手摺設置』が義務付けられていますが『手摺とは何か?』を定義してはいません。でも、なんとなく付いていると云うケースはけっこう多いのが現状・・・(^^ゞ

手摺は握れないかぎり手摺じゃない、握れない手摺ならば付けないほうがいい!既製品の丸棒の集成材手摺を手の入る距離だけ離して付けてしまえばそれで済むかも知れませんがそれではデザイン上、あまりにも軽すぎ、どうしたら握りやすい手摺が出来るかが設計者の腕の見せ所!と云うわけで、厚さを極力抑えた中心壁の笠木と手摺を兼ねるようにデザインしてみました。

写真を撮る前に手摺をスリスリ撫でてみて・・・いとおしくなる様な愛着を感じる手ざわりです。

ぼくは、愛着と云うモノが自分の手のひらから、触覚的な手応えから育ってくるように感じます。知性や理性以前の触覚を頼りにしているということになるのでしょうか。カメラを選ぶときにグリップを握ってみて自分の手のひらの中にしっくりと納まるような自分の感覚を頼りにGR君を選んだりしています。

話が脱線しそうになりますが、すまいの中に手ざわりの良い部分があることや、住まいそのものがなんとなく手ざわりよくできていることは、派手で見せ場の賑やかな住まいより、奥行きのある贅沢さを感じたりします。

「手ざわり」だけでなく「さわり」の良さを実現させるためには、設計者のディティールへのこだわりやその技量に表れるものです。そして、その思いを感じて手間のかかる仕事をしてくれる職方によって実現できるものです。

大工職からのプレゼント・・・大工職が削り出した手摺のカットサンプル。(^^ ありがとうございます!


大工職から内装色へとバトンが渡され内装職によるパテ処理の後、紙下地<コバウ>が張られています。<コバウ>という紙下地を張る理由は、石膏ボードのジョイント部にクラックが入らないようにするためで、出隅、入隅にも回し張りをしてもらっています。

そんな内部の作業を進めるために、内部足場が重要な役割を果してくれるのですが、工事が終わると解体されてしまいます。さらに、縁の下の力持ち的な役割にも関わらず「足場が外されれば、スッキリします!」なんてことまで言われてしまう、チョット悲しい内部足場です。(^^;)


そんな内部足場が解体されて、スッキリ! そして左官職による内部床のモルタル塗りが始まりました。

モルタル下塗りの床に菱形の光が差し込んでいます。ハイサイドの窓から差し込んだ光も菱形です。写真はGRⅢ 

光や影の様子を見る場合、色の情報がない分、カラーよりもモノクロームの方がほうが解りやすいようなのでモノクロに現像してみました。(^^


塗装職、建具職、板金職などの面々が入れ替わりで現場へ・・・にぎやかそうな現場です。

現場へ出かけたときには建具職が玄関建具吊り込み準備の真っ最中・・・外では設備業者が外部配管の墨出し GRⅢ モノクロ現像 適宜トリミング

大工職により造られた建具枠に建具職が建具を吊り込んでいく。

現場からの言葉によって納まりが変わることがあります。図面はどんな風にでも描くことが出来ますが新しい事を考えるほどに解らないことが増えて、どんどん難しい納まりにしてしまうということがあります。(-_-;)

そんな時にはスケッチを見てもらって『こんな風にしたい・・・』と職方に伝えることで、造る側の言葉が聞けて納まりが解ってきます。
両者の気持ちが良いものに仕上げていく・・・そんなふうに考えています。


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