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住む街を探検する

2026.03.09 村上 有紀

街に住むということ

家を建てるということは、実際の敷地に建築し、そこで暮らすということ。そして敷地を選ぶということは、「その土地に立ち」「その街に住む」という選択でもあります。

新たに土地を探す人は、どこに住むのがよいのか、暮らしに合う環境か、価格は妥当か、家づくりの条件に適しているかなど、多くの時間とエネルギーを費やして土地を探すことでしょう。
一方で、直感のようなものに導かれ、「この土地だ」と運命を感じて移住を決める人の話もあります。

もともとその土地で育ったり、長く暮らしてきた人は「土地探し」というプロセスはありませんが、家づくりの際には、その土地や街がどんな個性を持っているかを知ることが重要です。

住環境を考えるとき、その街が好きか、愛着を持てるかという感覚は、その後の生活の質に大きく影響します。暮らしは家の中だけで完結するものではなく、周囲の環境や社会とのつながりの中で成り立つからです。特に都市では、人との関係が安心にもなれば、ときにトラブルの原因にもなるという繊細な側面もあります。

引っ越した後、街とよい関係を築く第一歩は、街を観察することです。どんな風景があり、どんな人が暮らしているのかを知ること。

歩いてみる、見てみる、発見する。
そうしているうちに、思いがけない風景や、これまで気づかなかった街の魅力に出会うかもしれません。

そのプロセスを通して、街の面白さを発見したり、「自分が関わる場所」としての愛着が生まれたりします。少しでも親しみを感じられれば、心は自然とオープンになります。そして心が開かれると、理想の暮らし方や家のかたちにも影響してくるでしょう。

住まいの「閉じる・開く」を考える

住宅のかたちは、暮らしを「開くか、閉じるか」を調整しながら、街や自然との距離感をつくります。そしてそのバランスには、住む人の心のあり方も大きく関わります。

社会に対してどの程度開くのか、閉じるのか。その感覚は、家の形としても表れます。
街と住まい、内と外の接点は「緩衝領域」や「中間領域」と呼ばれ、日本の住まいでは土間や縁側がその役割を担ってきました。

これらは単なる懐かしい要素ではなく、現代の暮らしにも多くのヒントを与えてくれます。住まいの豊かさや住まい方の豊かさ、さらには精神的な豊かさにもつながる要素だと思います。

その豊かさを生み出すためには、街に親しみ、自然環境を理解し、うまく取り入れることが大切です。

間取りを考えるとき、人はどうしても自分たちの生活の側だけを見がちです。けれど、壁の向こうにはどんな風景や社会が広がっているのか。そんな視点を持つことで、間取りの質は大きく高まります。

まずは、その街をありのままに観察してみること。
「街探検」のような気持ちで街と向き合うことが、これからの暮らしを豊かにしてくれるはずです。

先日は、ちょうど数年後の建て替えをご希望の方と一緒に街探検(と敷地現調)をしてきました。
生まれ育った実家に戻り、そのタイミングでの建て替えを検討中です。
生まれ育った当時の街と、いまの街と。

その変化も面白く、よい探検活動ができました笑。
その様子は次回のブログで…

村上有紀 ひらく設計舎

栃木の設計事務所集団 ハピケン hapi-ken.com