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伝建地区のお仕事 土の熱容量

2023.09.09 佐藤 大介

R5.9.9(土)[小雨]

土曜とか日曜の小雨って、
時間がゆっくり進む感じがして好きなんです…


今週は、少しずつ、着々と施工の進む土蔵の現場監理。


〈竹小舞を施工〉

土壁の下地となる竹小舞(たけこまい)の施工が進んでおります。
竹小舞は、縦竹と横竹を1本1本、縄で縛って、
構造体と一体としていきます。

横竹は、柱にのこぎり状に刻まれた苆掛け(つたかけ)という部分に載せ、
柱と縄で縛ることで、構造体と一体とし、土壁の耐力を柱に伝え、
土蔵の強度が発揮していくのですが、
今回の土蔵は、長年の漏水によって、あるべき苆掛けがなくなっておりました。

伝建地区の保存修理としては、
“出来る限り、多くの古材を残し再活用する”
という絶対正義があるので、
新たにのこぎり状に加工した苆掛け部材を造り、
古材柱に添えて補強しました。

新しい柱に苆掛け加工をし、交換してしまった方が、
強度も出て、作業も簡単なのですが、そこは伝建工事…
出来る限り、歴史的価値のある古材を残し、
次の時代に引き継いでいきます。



〈鉄製の蔀戸〉
やはり蔀戸も長年の雨風による劣化が激しく
錆でボロボロになっておりました。

劣化部分を慎重に分解し、新たな鉄材と古材とを組み合わせて修理しました。

この現場の棟梁T氏は、大工だけど鉄の加工も溶接もできる凄い方!
T氏いつもありがとうございます。


続いて隣の土蔵

〈内部工事の進む土蔵〉

昨年度で保存修理工事としては、完了した土蔵、
本年度からは、内部工事が進んでおります。

桧材で造った内部階段。
素敵に仕上がりました。


この日、土蔵の2階に上がって感じたことは、
土の熱容量ってやはり素晴らしい!

この日の気温35℃、土蔵2階に上がるとひんやり…
日射が無いことも大きな要因ですが、
土の熱容量が大きいので、屋外の影響が内部に伝わりにくいのですね。
熱容量恐るべし…

湿度も土壁の吸湿性が影響してか、ベタベタ感はありませんでした。
今度、現場で実測してみようと思います。

土蔵は見た目も性能も素敵なので、
多くの人が出入りする用途として活用していけたら良いと…
楽しい可能性を感じた現場となりました。


意匠と性能の両立した住まい…
創右衛門一級建築士事務所
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