栃木で生まれ育った人にとっては大谷石の蔵はとても身近です。

大谷石の塀も見慣れた風景ですよね。

私も幼少期から見慣れすぎて、どちらかというとネガティブなイメージでしたが、建築の勉強をするようになり、その美しさや素材感の説得力を再確認しました。そしてファンが多いことも。

先日は、大谷石の地下採石場をみる機会がありました。資料館ではなく、実際に切り出している現場です。
ガタガタと揺れる現場エレベーターに乗って、60m下の作業場へ。

地下60mでは、吐く息も白く、地下水も湧き上がっており、ひんやりとした世界です。

60m下からの見上げ。

機械で切れ込みを入れた後、くさびを打ち込んで、手作業で石を切り出します。

今は、エレベーターでこの石を積んで持ち上げるけれど、昔は人が担いで階段で運んでいたとか。

しっとりとした石は緑がかっていてます。乾燥の過程での化学変化や経年変化で、色が黄色っぽくなったり白っぽくなったりするそうですが、そういう育つような変化を楽しめるというのは自然素材のよいところ。
時間を味方にする、そんな素材を使えたらいいなと思います。

採石場の後は、時間を経た大谷石と徳次郎石の蔵がならぶ集落を見学。


徳次郎には伯母が住んでいたので、なじみの場所ではあるのですが、
お恥ずかしながら「徳次郎石」という石があることは今回初めて知りました。

窓まわりの装飾が「徳次郎石」です。きめ細やかでこのような細工をするのに適しているのだそうですが、
その細工も、職人さんの腕じまんようです。

集落を進むにつれで、どんどんと細かな装飾に出会えました。

職人さんの心意気の想いを馳せつつ。。

ひらく設計舎 村上有紀 

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