佐野のみぞぐち建築設計事務所の溝口です。

まず、熊本をはじめ九州一体の大雨で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。自分が住む佐野市も昨年10月に台風19号の甚大な被害を受けました。自分は直接の被害はありませんでしたが、それでも悲惨さは分かっているつもりです。被災された方々の1日も早い復興をお祈りしています。

さて、佐野駅前に計画を進めていた「クリケットチャレンジ!!!ハウス」が完成して去る7月9日にプレオープンとなりました。今回、自分は各種許認可と全体調整の仕事をさせて頂きました。

クリケットというスポーツは競技人口がサッカーの次に多いとされ、日本ではまだまだマイナーですが世界ではとてもメジャーなスポーツです。自分が住む佐野市はこのクリケットを活用してまちづくりを進めているところであり、年間1万人を超えるクリケット関係者が佐野市に訪れる受け皿として、また市民にクリケットの魅力を伝えるツールとしてこのプロジェクトは計画されたものです。

このプロジェクトに参加した時点でプログラムはほぼ決まっており自分の仕事は前述の通りです。また、期間限定の施設ということもあり「仮設建築物」で進めることも決まっており建築基準法に対応したコンテナを採用することも決まっていました。しかし各種許認可と全体調整だけといっても、気になる部分は遠慮なく意見を言わせて頂きました。一応、建築のプロですので、その目線で意見を言うのは必要ですし求められていることだと思いましたので。

意見を言わせて頂いたもののひとつとして建物配置のことがあります。

敷地は佐野駅のロータリーの端に位置し、南側を月極駐車場、北側を敷地から順番に歩行者専用道路、駐輪場、JR両毛線と東武佐野線のプラットホームがあります。敷地内には東屋があり、歩行者専用道路との境にはフェンスが設置されています。当初は東屋やフェンスを避けるため、また採光のため歩行者専用道路を背にして南側駐車場側に開く配置でほぼ決まりかけていましたが、真逆にひっくり返す案を提案しました。

提案内容としては、通過交通のない歩行者専用道路側に開きそこをウッドデッキ敷きのオープンテラスにすると言うこと。オープンテラスからアクセスできた方が入りやすくなりますし、何よりも歩行者専用道路と視覚的に一体化した方が空間的に広がりが持てると言うのが理由です。

程なくしてこの提案が採用されました。しかし、各種許認可申請からプレオープンまでがちょうど1ヶ月と言う超タイトスケジュール。関係諸官庁や工事関係業者の方々のご尽力、ご協力のおかげでプレオープンの日に間に合わせることができました。皆様にはこの場を借りまして御礼申し上げます。

プレオープンの9日に立ち寄ってみましたが、歩行者専用道路を挟んだ駐輪場を利用する学生が思いのほか多く、皆さん興味津々でした。建物配置を逆転させたことは正解でした!!!

正式オープンは7月15日。「クリケットチャレンジ!!!ハウス」はカフェ棟の「クリケットカフェ」とショップ棟の「佐野ブランドショップ」の2棟で構成されています。カフェではビーガンの軽食や無添加のスパークリングティーが楽しめます。ショップではクリケット関連のグッズや佐野のおみやげなどが購入できます。ぜひ多くの方に立ち寄って頂きクリケットの魅力に触れて欲しいと思います。

溝口泰史/みぞぐち建築設計事務所

栃木・埼玉の建築家集団/ハピケン