みなさん、こんばんは。
RENGEの工藤です。

普段は、住宅などの設計・監理の傍ら
専門学校で生徒たちに建築の勉強を教えているのですが、
断熱や省エネの話しを説明するのはなかなか大変ですね。

温熱環境は、意識したことがある人にとっては大切なものでも
そうではない人には関心が無いもの。当然かもしれませんが。
だから、どれだけ大切なのかって話しをしっかり行うように
考えています。


画像はイメージです。

と、学校の話しはさておき、

省エネ住宅の等級表示が1段階増えるらしいと
ニュースが出ていました。

省エネ住宅に上位等級: 日本経済新聞 (nikkei.com)

住宅の性能表示では、等級4が最高等級となっており、
H28年に法改正され新省エネ基準ではUA値などを使って
住宅の断熱性能が示されています。

宇都宮市の場合は、等級4でUA値=0.87(W/m2・K)
となっています。

ちなみに、このUA値は室内外の温度差が1℃の時に
建物の中から外へ逃げていく熱の総量(W)を
建物の外皮(屋根、壁、窓、床など)面積で割ったもので、
例えば室温が20℃、外気温が0℃のとき外皮が500㎡の建物だとすると

0.87×500㎡×20K=8,700W

つまり8,700Wもの熱が逃げて行ってしまうということになります。
これに対して、エアコンは6畳用の暖房で2,500W程度と考えると
単純計算は3.5台必要ということになりますね。

新しく増える等級がどのくらいの性能になるかはわかりませんが、
現在、H28年省エネ基準の他にHEAT20という省エネ指標のなかに
G1、G2というものがあります。

やはり宇都宮市で見ていくと
G1 → UA値:0.48(W/m2・K)
G2 → UA値:0.34(W/m2・K)
となっています。

このUA値は、家の中から逃げていく熱量を表していますので
数字が小さいほうが性能が良いということになります。

では、性能が良いほうのG2で上記の計算をしてみると

0.34×500×20=3,400W

となり、単純計算では先ほどの建物より必要な暖房エネルギーが
40%程度でOKということになります。

なお、ここで言うエネルギーとは、
家の中で適度に快適で健康的に過ごせる温度を維持するためのもの
ですので、これを我慢するということは、それなりの対策をしなければ
ならないとともに、地球環境への負荷を増やしているということを
理解しなければいけません。

そして、このHEAT20にはG3という上位指標も用意されています。
G3 → UA値:0.23(W/m2・K)

というわけで、数値をメインに書いてきましたが、
省エネ性能が向上するということは、もちろん初期投資であるコストがアップする
のは確かですが、それに応じて断熱性がたかまり暖冷房の効率が上がり、電気代
などのランニングコストが下がりますし、より健康的な生活を送れる可能性が
高まります。

設計した建物の性能を計算することも可能ですので、どのくらいの数値になるのか、
ランニングコストはどのくらいか?など確認しておくことがおすすめですね。

建築設計事務所 RENGE
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