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建築探訪「つくばカピオ」

2026.07.31 溝口 泰史

佐野のみぞぐち建築設計事務所の溝口です。


用事で筑波を訪れた際、少し時間があったので「つくばカピオ」に立ち寄ってきました。

「つくばカピオ」は、アリーナとホールを備えた複合施設です。設計を手掛けたのは、故・谷口吉生氏。1996年7月の竣工から、今年でちょうど30年を迎えます。

現地を訪れてまず感じたのは、「本当に30年前の建築なのだろうか」という驚きでした。古さを感じさせないというだけではなく、今見ても新鮮で美しく、時代に左右されない魅力があります。
建築のデザインは、その時代の流行や価値観を反映しやすいものですが、この建物には流行を追ったような印象がまったくありません。だからこそ、30年という時間が経過しても色褪せず、静かな存在感を放っているのでしょう。そこには谷口氏の実直で誠実な設計思想が表れているように感じました。

建物正面でひときわ目を引くのが、大きな門型のフレームです。この大胆な構成は、「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」「東京国立博物館 法隆寺宝物館」、そして「ニューヨーク近代美術館」にも共通して見られる谷口建築の特徴の一つです。

この大きな門型空間は、外部を建物の一部として取り込む半屋外空間となっており、街と建築、人と建築をゆるやかにつなぐ役割を果たしています。単なるデザインではなく、空間体験そのものをつくり出す重要な要素であり、谷口建築を象徴するアイコンともいえる存在です。

谷口建築には、端正なモダニズム建築ならではの凛とした空気感があります。建物の前に立つと自然と背筋が伸びるような、静かな緊張感を感じます。
その美しさを支えている理由の一つは、材料そのものだけでなく、材料と材料をつなぐ「目地」の扱いにあるのではないかと考えています。

その「目地」については、また改めて掘り下げてみたいと思います。


溝口泰史/みぞぐち建築設計事務所

栃木県の設計事務所集団/ハピケン