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2026.07.07 佐藤 大介
栃木県宇都宮市の設計事務所集団 ハピケン
2026.7.7
栃木市嘉右衛門町伝統的建造物群保存地区にある明治期の見世蔵。
今年3月、この建物の保存修理工事が完了しました。
そして今週7月11日(土)
この建物はドーナツ店「Chunuts」(チュナッツ)として新たな一歩を踏み出します。

保存修理設計を担当するとともに、
以前から栃木市と連携しながら
活用方法の検討や入居予定者とのマッチングにも関わってきました。
建物を修理することは大切です。
しかし、それだけでは建物は残りません。
どれほど丁寧に修理された建物であっても、
使われなければ再び空き家となり、
やがて地域との関係も失われてしまいます。
「修理の先」にある活用まで見据えることが重要だと考えています。
今回のChunutsもその一つの形です。
保存修理工事完了後すぐに内装工事が始まりました。
その際には栃木市の空き店舗活用補助制度も活用しています。

歴史的建造物の保存や活用には、多くの時間と費用が必要です。
建物所有者だけで実現できるものではありません。
行政、事業者、建物所有者、設計者。
それぞれが同じ方向を向き、
役割を果たしてはじめて建物は次の時代へ引き継がれていきます。
栃木市と連携しながら、
それぞれの目的に合った補助制度を
活用できることは大変ありがたいことです。
建物を未来へ残していくために、
このような官民連携が欠かせないと感じています。

これまで多くの歴史的建造物に携わってきました。
その中で強く感じていることは、
「歴史的建造物は保存するだけでは残らない」
ということです。
文化財や歴史的建造物というと、
保存すること自体が目的のように思われることがあります。
もちろん保存は大切です。
しかし建物は本来、人が使うためにつくられたもので、
人が集まり、会話が生まれ、日常が営まれる。
その姿こそが建物本来の姿ではないでしょうか。
今回オープンするChunutsは、
明治時代の見世蔵に現代のドーナツ店が入ります。

歴史ある建物と新しい店舗。
一見すると異なる時代の組み合わせに見えるかもしれませんが、
それこそが歴史的建造物の魅力だと思っています。
建物は時代とともに役割を変えながら生き続けます。
商家だった建物が飲食店に…
土蔵だった建物がギャラリーに…
今回は、見世蔵がドーナツ店になる。
大切なのは用途ではなく、
建物が再び人に使われることです。
新しい用途を得た建物には人が集まります。
人が訪れることでその地域を歩く人が増えます。
その風景がまた新しい魅力を生み出していきます。
建物を活かすことは、単に建物を残すことではありません。
地域の風景を育てることでもあります。
建物を保存する仕事をしていますが、
保存すだけではなく、建物の価値を次の時代へ繋ぐ仕事をしています。
設計図を描くことだけが、私の仕事ではありません。
建物の活用を考えること…
行政と連携すること…
補助制度を活用すること…
地域の人や事業者を繋ぐこと…
そうした積み重ねによって
建物は再び地域の財産となっていくのではないでしょうか。
建物の価値とは、古いことではなく、使われ続けることです。
これからChunutsには多くの人が訪れ、
その時間の積み重ねが、この建物に新たな歴史を刻んでいく。
明治から令和へ…
建物は姿を残しながら、新しい役割を手に入れました。
その風景がこれからの嘉右衛門町の日常となり、
地域の価値へと繋がっていくことを楽しみにしています。

今週7月11日(土)
ドーナツ店「Chunuts」(チュナッツ)がグランドオープンします。
保存修理を終えた歴史的建造物が、
新たな役割を得て再び地域の日常の中で歩み始めます。
建物の魅力だけでなく、
この場所に流れる時間や空気もぜひ感じていただければと思います。
嘉右衛門町を散策しながら、歴史ある見世蔵で味わうドーナツ。
そんなひとときが、この町の新しい風景になっていくことを願っています。
日時|2026年7月11日(土)9:00〜
場所|栃木市嘉右衛門町 伝統的建造物群保存地区内
歴史的建造物に新たな命が吹き込まれた空間へ。
ぜひ足をお運びください。
創右衛門一級建築士事務所
https://souemon.net

意匠と性能の両立した住まい