蒸し暑さと不安定な空模様の宇都宮界隈。
気のせいなのかもしれませんが、ここのところ花以外の動く生物が気になるようになって、
ついついレンズを向けているようです。
アザミの花に飛んで来たミツバチ(←たぶん?) GRⅢx ポジフィルム調 マクロ
ミツバチとアブの見分け方があるようですが、写真を撮るのに夢中になってしまって、
上の写真を見ると羽が2枚なのでアブかなぁ?
ピントがアザミにいっているのでわかりませんよねェ。(^^;)

で、ここからが本題
6月の記事<現場で考えること>でお伝えしていた<堀込のすまい>では大工職による内部造作工事が進んでいます。

現場には下小屋で加工されて搬入されたラワン合板の下見板が積まれています。 
GRⅢ ポジフィルム調 ノートリミング
下見板張りは、上方の板の下端を下方の板の上端に羽重ねにして張る方法で、各段の板の長手方向の木口が
下側に見えるので下見板張りと呼ばれています。
また、鎧(ヨロイ)の錣(シコロ)に似ていることから、鎧(ヨロイ)張りなどとよばれることもあります。
6月の記事の時には、「階段蹴上げ寸法に合わせて下見板を割り付けて・・・」とボンヤリとにごしていた壁仕上が決定


今回は風合いとコストから「ラワン合板」を採用。もちろん初めてのことです。(^^
1,820㎜×910㎜のラワン合板、7枚から126枚の小幅板をとって、しゃくり加工をしてもらうと云う、
手間の掛かる作業をお願いしました。
内壁に張ることから羽重ね部分の寸法を抑えるように合板にしゃくり加工をして、というさらに
手間の掛かる提案は大工職からのものです。(^^;)
実は、この「しゃくり加工」の役割は施工精度を上げるという役割も担っているんです。
この現場では、最初から「ヨロイ張り」と呼ばれていて、そこからさらに「ラワンベニヤのヨロイ張り」と
呼ばれるようになっていました。(^^

階段詳細図から鉄工所で施工図をおこし、製作されて取り付けられた段板を支えるスチールの下地

前回の図面と比較すると、手摺支柱の取付位置が変更になっていますが・・・
これは現場打合せの上変更されたものです。
間違い探しみたいなことになっていて、描いている本人しか解らないかもしれませんが、見比べてみてください。(^^;)
スチール段板下地とヨロイ張りとの取り合い部分。この下地の上に段板が取り付けられます。

階段の蹴上げ1段に対して、ヨロイ張りが2段で割り付けられている様子が分ると思います。
この割付はヨロイ張りでないと、上手くいかないところなんです。(^^
張り上がってきたところをマクロで・・・

羽重ねの寸法は合板の厚みの約半分、6㎜・・・これが12㎜になると大きく印象が変わるでしょうねェ。
うちの事務所では、何かを揃えるというようなことが、いつの間にか仕上の決まりみたいになっています。
モノを揃えようとするために、職方に無理を言って手間を増やしていますが、モノを揃えると云うことは、
チョット大袈裟かもしれませんが、つくり手の意志表現だと思います。

キチッとした納まりは不自然なもの、それをどうしても揃えたいという意思に打たれて、
職方は一生懸命仕事をしてくれてすまい手は設計者、施工者の存在を感じてもらえるのだと思いたい。
そのためにモノを揃えた図面が描かれているんです。
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